春を待たずに

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老人養護施設から長女に電話があり、母の呼吸がおかしいので来てほしいと。
長女からの電話を切り、急いで着替えた。
再び長女からの電話が鳴る。『お母ちゃんが危篤なんやて!!』
急いで、長女を迎えに行って施設へ向かう。
なんにも予定の入っていない日曜日だったので、久しぶりに釣りに行こうかと前日から思っていたのだが
なんとなく、家にいたほうが良いような気がしたから、行くのをやめた。
無言の車内。わたしは亡き父に「まだ連れて行かんといて!」そう心の中で訴えていた。
母がいる部屋に行くと、母は眠っていた。
あーまだ生きててくれた。大丈夫だったんだ。そう思った。
担当の看護師さんが、『ごめんなさい。5分前に息をお引き取りになりました。』と。
そんなばかな。これは眠っているときと同じ顔やで!
「お母ちゃん!」「お母ちゃん、来たで!!」「起きて!」
しかし返事がない。

春になったら、母の姉が神戸から会いに来るはずだったのに。とっても会いたがっていたのに。
9日に会いに行ったときは、「もうすぐ神戸のおばちゃんが会いに来てくれるから元気でおるんやで。」そう
話しかけたら、うなずいた気がした。

3月12日午前9時40分。母は春を待たずに逝ってしまった。
二人を会わせてあげられなった。とっても残念に思う。

お通夜の日、神戸から叔母が娘夫婦に付き添ってもらって、母に別れを言いに来てくれた。
母に話しかける叔母の言葉に、涙が止まらなかった。

たくさんの思い出が、次から次へ蘇ってきて、覚えていたはずの喪主の挨拶は飛んで行ってしまった。

「みんな、今日はありがとう!」 この言葉であいさつを始めた。
母がそう言って欲しいと、わたしの耳元でささやいていた気がしたから。

「お母ちゃん、ありがとう。」わたしは心でそうつぶやき、母にお別れをした。




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by mikumano-beef | 2017-03-17 15:56